福澤徹三著書【侠飯~おとこめし】の紹介です。
今さら?と思われるかもしれませんが、わたしは今年になってから出会いました。
それもそうですよね!
【侠飯~おとこめし】といえば、2016年に生瀬勝久さんが主役のテレビドラマ化されています。
公式レシピBOOK「メシにするか。」が発売されるほどのグルメ本ともいえます。
『侠飯』(おとこめし)は、福澤徹三の小説。2014年に文藝春秋より文庫書き下ろしで出版された。2016年にテレビドラマ化、漫画化されています。
- 侠飯 (2014年12月4日)
- 侠飯2 ホット&スパイシー篇 (2015年12月4日)
- 侠飯3 怒濤の賄い篇 (2016年8月4日)
- 侠飯4 魅惑の立ち呑み篇 (2017年7月6日)
- 侠飯5 嵐のペンション篇 (2018年7月10日)
- 侠飯6 炎のちょい足し篇 (2020年4月8日)
電子書籍版には漫画版第1話と第2話が収録されています。
さらに「俠飯〜おとこめし〜」公式レシピBOOK「メシにするか。」
テレビドラマ版に登場した料理のレシピをドラマのあらすじ、写真とともに紹介したものがあります。
1962年福岡県北九州市生まれ
高校卒業後、肉体労働、営業、飲食店、アパレルなど、さまざまな職業を経てデザイナー兼コピーライターに転業。プロダクション、広告代理店、百貨店アートディレクター、専門学校講師を経て作家活動に入る。2000年、『幻日』でデビュー。ホラー小説や怪談実話、アウトロー小説、警察小説まで幅広く執筆。
2008年『すじぼり』(角川書店)で第10回大藪春彦賞を受賞。
2014年『Iターン』で第3回エキナカ書店大賞受賞。

すごい経歴の持ち主ですね。
小説がおもしろいわけだ!!!
今回は【侠飯】(シリーズの1巻目)を紹介します。
- 大学生(特に就活前の大学生)
- 高校生
- 小説を読み始めたい人
もくじ
侠飯(おとこめし)あらすじともくじ

就職活動に悩む大学生、若水良太は、ヤクザどうしの銃撃戦に巻き込まれ、組長の柳刃竜一が部屋に居座ってしまう。居候の柳刃はお取り寄せが趣味でキッチンを占領しては料理を作り、恐怖と美味に混乱する良太。そこに同級生たちも加わって事態は予想外の方向へ!
引用元:文春文庫
プロローグ・・・就活と抗争
- オイルサーディンとカマボコとリンゴとネギでなにを作るか
- チャーハンはパラパラじゃないほうが旨い
- クリスマスイブにチキンはいらない
- ゴミ袋とレンジで作る刑務所の飯
- ステーキはA5ランクよりスーパーの特売品
- レトルトカレーがフライパンひとつで絶品になる
- 食べもので性格が変わる
- 殴られた夜のソウルうどん
- 飯は冷やに限る
エピローグ・・・この世でいちばん旨い飯

もくじだけで美味しそう!
ドキドキハラハラのシーンから始まります
侠飯(おとこめし)本の中身を少しだけ
あたりは住宅街だけに夜は静かで人通りもない。
冷たい夜風に肩をすくめて歩いていると、路肩にハイエースが停まっていた。マンションの向かいにある豪邸の前だ。
作業着姿の男がふたり、大きな細長い荷物を後部座席に積もうとしている。シーツのような白い布をガムテープでぐるぐる巻きにしてあるが、ずいぶん重いらしく、二人の男が積むのに苦労している。
ハイエースの前魔できたとき、男たちはようやく荷物を後部座席に押し込んだ。
そのとき、布の先端がくねくねと動いたと思うと、くぐもった声がした。
「だしてくれッ」
街灯のあかりに浮かんだその荷物は、人間の形をしていた。
見てはいけないものを見てしまった。
いきなり、このようなシーンから始まります。
この先どうなっていくのか?
おとこめし!ごはん系の話にどうつながるの?
ドキドキ!ハラハラ!先を読み進めましょう。
「待て。いただきますもいわずに食うつもりか」
良太はとまどいつつ両手を合わせて、
「いただきます」
このシリーズではかならずこのセリフがあります。
「いただきます」両手を合わせて言う。
作ってくれた方への感謝、食材に対しての感謝、食べることができることへの感謝、いろいろな感謝の意味があります。
当たり前のようなことでもできていない人が多いです。
この本を読んでからは両手を合わせて「いただきます」を言ってます。
「グラスに注げ。その方が旨い」
「どうしてですか」
「缶ビールはグラスに注ぐのを前提に作られているから、そのまま呑む炭酸がきつい。グラスに注ぐことで、泡も立って口あたりがよくなる。缶は金属の匂いもするし吞み口がちいさいから、ビールの旨さがじゅうぶんに味わえない」
さっそくグラスを持ってきてのみ比べてみると、たしかに缶よりも旨い。
「グラスに注ぐと、泡が蓋になって酸化も防ぐんだ」
へぇ~!!って感じですよね。
そんなこと考えたことなかったけど、これを読んでからはグラスに注ぐようになりました。たしかに旨い!
「結局、なにがやりてえんだ」
「それが、よくわからないんです」
「自分のやりてえことも、わからねえのか」
大学生どころか社会人だって【自分のやりたいこと】わかってますか?
我が子に対して、社会人になる前(大学生のうちに)考えてほしいと思ってました。
「料理には家で作っても大差ないものと、玄人にしかできないものがある。蕎麦はちゃんとした店で食ったほうが旨い。天ぷらや鮨、鰻なんかもそうだ」
「職人技ってことですか」
「ああ。そういう腕がありゃあ食いっぱぐれがない。反対に誰にでもできる料理を何年修行したって使いものにはならん。かわりはいくらでもいるからな」
(中略)
もしそうだとしたら大企業にこだわらず、中小企業に就職してでも、ひとまず経験を積むという考えは正しいのかもしれない。
そうなんですよね。
専門的な仕事をしている人以外、一般的な仕事をしている人は居なくなったって企業は困らないんです。
いくら自分がその仕事で活躍していると考えていても、企業は困らない。
「大学で教わるだけじゃなくて企業研究や自己分析はちゃんとやったし、SPIの問題集も暗記しました」
「それ以上のなにかが必要だと思うね」
「志望動機や自己PRを、もっと充実させるってことでしょうか」
「むずかしいことはわからんが、自分という商品を売り込みにいく場が面接だろ」
「自分という商品?」
就活生の方、【自分という商品】をうまくPRできていますか?
マニュアルに沿って面接の練習をしているだけではありませんか!!!
【自分という商品】・・・考えてみる価値はあります。
「ここにあるのがなにか知らんが、料理だって創意工夫だ。丸い玉子も切りようで四角というように、視点と発想を変えることで新しいものが生まれる」
(中略)
「料理とは食材や調味料、調理法の組合せだ。アイデアは情報と情報の組合せだろう。就職に関しても世間の風潮に流されないで、自分の考えを持つことだ」
【視点と発想を変えることで新しいものが生まれる】
これは、大学生に限らず老若男女問わずすべての人に対しての言葉です。
自分の考えを持つことは大切なことですね。
「自分を善人だと思ってる奴は反省しない。常に自分が正しいからな。なにかで成功したときは、自分の才覚のおかげだと思いこむ。反対に失敗したときは、他人や世の中のせいだ。それじゃ永遠に進歩しないし、物事の本質は見えない」
思い当たることありませんか。
誰しもが善人ではありません。見たくないものから目をそむけてると視野が狭まって単純な発想しかできなくなる…自分を見つめ直すべきですね。
「妥協しただと。仕事を舐めるな」
(中略)
「いやちがう。おまえは勉強が嫌いなくせに大学生になった。そしていま、仕事が嫌いなくせに就職しようとしている。いっぱしの自分の考えがあるつもりで結局はまわりに流されているだけだ」
現在、大学進学を目指す高校生がほとんどです。
その中にどれだけの学生が自分の将来を考えているでしょうか?
まわりに流されいるだけの人、多くないですか!
いまを変えるのは自分しかいない。いつの日か、命がけでやれる仕事を見つけて、この世でいちばん旨い飯が・・・・・。
この世でいちばん旨い飯とは何でしょう?
高価な料亭の料理は美味しいに決まってますが、
それより自分が納得できる仕事をして稼いだお金で
食べる料理がいちばん旨い飯になるのではないでしょうか!
侠飯(おとこめし)肩の力を抜いて読める本
肩の力を抜いて読める小説ですが、内容的に心に響くものがありました。
会話調になっているので活字が苦手、でも小説を読んでみたい。という方にも読みやすい。
ぜひ、
これから社会に出る大学生や高校生に読んで欲しい本です。


家にあるものを使って作りました。
油断してたらウインナーが焦げてしまいました・・・